苗字が変わるということ

　明日、姉が籍を入れるらしい。30年間呼ばれていた苗字が明日から変わる。そんな旧姓最後の今日、うちに姉が仕事帰りに泊まりに来た。よくテレビとかで見る「お世話になりました」みたいなものをするのだろう。食事の後、僕は自分の部屋に戻ったのでよく分からないが、それらしき感じではあった。豪勢な食事などが用意されていたり、ちょといつもとは違う感じだったけど、僕としては全然普通に姉と接していた。
　親としては、嫁に出す・ここまで育てきったという感じなのかもしれないが、僕にとっては変わらず姉であることは間違いない。名前が変わっても「お姉ちゃん」と呼ぶだろうし、人様の物になったとの認識もない。
　苗字が変わるってのはどんな感じなんだろう？人からそれまでと違う呼び方で呼ばれるわけで、なんだか生まれ変わったみたいな感じなのだろうか？例えば、昨日まで鈴木さん〜って呼ばれてたのが、今日からは佐藤さん〜っていきなり変わっちゃうんでしょ？知っている友人なら少し抵抗を感じたり、ぎこちなかったりするんだろうけど、病院の待合室で呼ばれたりするときは、あたかもずっと佐藤さんであったかのように呼ばれてしまうんだだろう。何が言いたいのか分からないが、何ともあいまいで不安定なものなんだなと変に思ってみたりして。結局呼称なんてものは、どうでもいいものなのかもしれない。それが番号になったからといってたいして違いはない気がする。いくら自分が佐藤だと思っていても、ある人から見たら鈴木さんだとしたら、その人にとって自分は鈴木さんなのだろう。名乗るのは自分かもしれないが、どう認知してどう呼ぶかは相手次第なのだ。芸名やあだ名がいい例だろう。本当は誰でもないのに、名前をつけその人物を演じている自分。周りが思っているであろう自分という人間を上手く演じきろうとしている。あなたは誰？？？そして僕は？？？
いずれにせよ、旧姓の苗字を受け継いでいく人間は僕一人になってしまった。僕が死ねば僕の姓は絶たれる。だからと言って守り抜こうなんてことは思わない。別に僕は佐藤でも鈴木でもいいのだから。　
　財布はどっちが握った方がいいだとかそんな話も出ていたが、何にでも首を突っ込みたがるうちの両親の悪い癖が、変な影響を与えなければいいが・・・。