アテにするということ

　そういうことをたまにしてしまう。「こうなのだから、当然として相手はそうしてくれるだろう」などなど…。
　現在会社帰りに注射を打って帰っている。家に着いて一時間くらいで副作用が出始める。ここ数回、晩御飯中に副作用が出ていた。副作用が治まるには数時間かかるから、一番いいのは副作用が出る前にご飯を食べればいいことは、誰の目にも明らかなはずだった。さすがに今日はご飯が早いだろうと思っていたら、いつも通りの時間だった。早くご飯を作らない母に対して怒りが込み上げてきた。「なんで分からないのだろう？」と。
　同じような話が最近あった。母が照明器具を買いに行ったときのこと。結構大きいものなので父親に運ばせようと思っていたらしい。ところが父はその日飲みに行ってしまって運ぶことができなかった。それに対して母は怒り心頭。「荷物があるの分かっててどうして飲みにいくのだろう」と。もちろん母と父の間には何か約束があったわけじゃない。つまり、荷物があるって分かってるはずだから、「当然として父は手伝ってくれるはず」とアテにしていたのだ。結局それが外れただけの話。
　どっちも自分勝手な話だと思う。勝手にアテにしといて、それが外れて相手に対して怒りを抱く。相手にしてみたらいい迷惑だろう。しかも仮に相手の希望通りに行動したとしても「当然」と思われてしまうのだから。それであればきちんと約束をするべきだと思う。そうすればアテになる可能性は格段に高まるし、万が一アテが外れたら、相手を追及する十分な理由ができるのだから。
　約束をしてなきゃアテにしない。そうすればもし相手が気を利かしてくれたとしたら「ラッキー。なんて気が利く奴」と、相手に対して感謝の気持ちさえ持つことができるだろう。相手の「気が利く度」に期待したアテ。人間関係を良好に保つためにも、自分が心穏やかにいられるためにもしない方が懸命らしい。