共同生活における問題点

病室には4人の患者がいる。皆んなそれぞれの生活をしているからいろんな音がしている。その中である一人の患者に僕は苦しめられている。
ガムをくちゃくちゃぺちゃくちゃと音を立てて食べるのだ。寒気が走った。たかがそれくらいと思うが昼間ならともかく、夜消灯時間が過ぎた後でもそれが続く。本人はテレビを見ているから気づかないかもしれないが、静かな病室に彼の口の音だけが無気味に響いているのだ。そりゃ寝れない…。次の日の朝、昨日寝る前と同じ音が夢の中で聞こえてきて目が覚めた。6時半だった。またもや彼と僕との長い一日が幕を開けた。
一旦気になるともう駄目だ。きっと世界の誰よりも早く彼がガムをかみ始めたのを察知することができると思う。耳栓もしてみた。嫌な音なのだから無視できればいいのに、何故か耳栓の向こうに微かに聞こえる音を探している自分がいる。そしてその微かな音に集中してイライラしているのだ。
ストレスがたまると人間の精神は徐々に崩れていく。最初はガムだけ気になっていたのに、彼の動作音、咳、もう全てがうるさい。つまり彼の存在がうざったくなるのだ。そして話したことのない彼の人間性をも否定している。きっとここまで僕が嫌っていることを彼は夢にも思っていないだろう。どこで恨みをかってるかわからんもんだ。
入院生活も丸2ヶ月が過ぎた。普通でもストレスがたまるころかな。