今そこにある事故

お昼ご飯を食べて病室で薬を飲もうと何気に外を見ていたら、高速道路の右車線を走行中の車がいきなりスリップして左側の壁に激突した。衝撃で車は中央車線まで跳ね返され、左車線には破片が飛び散っていた。
何たる偶然。不幸な事故なのは分かっているのだが少し離れたところから見た事故は映画か何かで見るそれと何ら変わらない映像だった。当事者だけだろう、現実として確かに感じているのは。
3つある車線の内左と中央はふさがってしまったため全ての車が右車線へ向かっていた。なるほどこうやって渋滞は起きるのかと変に納得してしまった。しばらくして運転席、助手席から人が降りてきて、左車線をふさいでいる車の破片を拾い道をあけていた。乗っていた人たちは無事らしい。
道が一つ増えたことにより車の流れがややスムーズになった。事故から20分後交通整理の黄色の車がやって来た。到着後てきぱきと誘導等や三角コーンを設置していた。事故のプロなんでしょうね。その横で初めて起こしたかそれとも数回目なのかは知らないが明らかに交通整理の人よりは素人であろう当事者が好対照だった。
遅れること10分後、覆面パトカーが到着。驚いたことに1時間後には全てが跡形もなくなくなっていた。
ついさっき事故が起きた場所には、何も知らないドライバーが通り過ぎていた。何事もなかったように。そしていつもの日常がそこにはあった。